漢方の本領 ー「瞑眩(めんげん)について」ー その2|千葉県香取市佐原の漢方薬局

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今月の漢方

漢方の本領 ー「瞑眩(めんげん)について」- その2

最初から内容が内容で、余りきれいな話ではないので公開するのを暫くためらっておりましたが、本当の漢方の世界をご理解いただくために大切でありますので敢て公開させていただきます。読んで下さる方にはお許し下さい。

自身の体験 その1

もうすでに20年以上前になるであろうか、夜間睡眠中私は突然、今まで経験したことのないような猛烈な腹痛に襲われた。暗闇の中、必死に腹を押さえながら、やっとの思いでトイレにたどり着き、電気をつけて便座にすわった途端、まるで大口径の蛇口を一気に全開したように、肛門から大量の「水」を排出した。さらに、その「ピシャー、ドドドド・・・」と出ている最中、みるみるうちに視界が周囲から暗くなり、やがて目をあけているのに視野が真っ暗になり何も見えなくなった。(トイレの電気は点いていた。) やっとの思いで手探りで、トイレの外に這い出たところで倒れこみ、そのまま気を失った。どのくらいの時が経ったであろうか、気がついて時計をみると約2時間ほど経過していた。気絶など初めての経験であったが、不思議にも覚めてからの気分は実に爽快で、単なる腹こわしの下痢などとは明らかに違っていた。

「瞑眩!」 直ちにそう思った。 「本当に目が眩むんだ」 と。

翌日の昼間、2回目の瞑眩が襲ってきた。今度は昨夜と違い腹痛と同時に、早くも視野の周囲が暗くなってきた。

「また来た!」

ピシャー、ドドドド・・・ 2回目の時は気絶こそしなかったが、それでも壁を伝いながらトイレから出た。そして心地よい脱力感と共にソファーに倒れこみ、暫くそのまま眠ってしまった。

「瞑眩」 とは、体内に溜まった不要物・毒素に漢方薬が命中した時、その毒素が動き出し、激しく体の外へ排出される時の現象であり、特にその作用が激しい場合、その人が目が眩み気絶するので、古来この現象を称して「瞑眩」というのである。

私の、この場合の毒素は「水毒」である。

思えば私の体質は、漢方の世界で言うところの「水毒質」であって、これが災いして、「めまい」「たちくらみ」や「眼精疲労」「動悸」「耳鳴り」・・・など様々な症状に悩まされていたのであるが、この「瞑眩」の一発以来、前記の諸症状が、それこそ「諸患洗うが如く」消失したのであります。2回目の時確認したところでは、「出たもの」は便などではなく、きれいな?「水」であった。

ちなみに、このとき私が自分で作って飲んでいた薬方は「五苓散」という処方ですが、湯剤の「五苓散料」として用いました。薬味は「澤瀉」「猪苓」「茯苓」「朮」「桂皮」の五つであります。この処方の使い方につきましては、後述します。もちろん古人の用いた使い方です。

漢方とは、このような効き方をするのであります。また、逆にこの効き方が漢方の漢方たる所以であり、本領であります。

続く

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