今月の漢方
明治時代の処方箋
明治時代の処方箋(古い昔の処方箋)
現在、薬局において薬剤師法で定められた調剤済み処方箋の保存期間は3年でありますが、当薬局におきましては、110年前の処方箋が保存されていますので、ご紹介致します。それは明治43年(1910年)当薬局初代である曾祖父小川欽一郎の母夏子に交付されたもので、筆で縦書きに書かれています。今となっては一部読みにくい文字もありますが、ご参考までに横書きに書き換えてみました。現代の薬剤師の皆さん、調剤してみませんか?
處 方 箋
小川夏子殿
重曹 6.0 硫苦 6.0
稀硝酸 6.0 水 180.0
右1日3回服用 2日量
ヂャスターゼ 9.0 燃?性マクネシヤ 0.6
分為6包 毎食后1包つつ服用
ブロムラール 0.8 安知比林 0.6
乳糖 0.8
分為2包 頓服2回分
神田区末広町19番地
醫士 師岡宗春
(欄外に) 欽一郎分
ヂヤスターゼ3.0 重曹1.0
為3包
尚、「硫苦」は硫酸マグネシウム、 「燃?性マクネシヤ」は酸化マグネシウムと思われ、「安知比林」はアンチピリン、欄外の記載は、母親を連れて行った欽一郎が、ついでに自分への処方もしてもらったメモであろうと思います。また処方医の師岡宗春先生(肩書が「医師」ではなく「醫士」となっています。)につきましては、明治初年に於ける江戸(東京)に漢方四大家といわれる、浅田、尾台、熱田、師岡の各医家のうちの、師岡家に繋がる方と思われますが、詳細明らかでなく、ご存じの方がおられましたら、お教え下されば幸甚です。
令和2年5月4日 記